丹波

彩る霞みたちこめる絵巻のような丹波

丹波地域の自然と文化など農村の良さを守り、活かしながら暮らしています。

ふるさと丹波、私、婦木克則は、この地で生まれ育った百姓です。

日々野良で耕し続けています。今耕している畑を親父たちも祖父母たちも、

またそのおじいさんたちも耕してきたのです。

一鍬一鍬、汗してきたものであり、それを私たちも耕し作物を作っています。
いわば先祖からの財産の上に、今の私たちの暮らしがあるのです。
丹波というブランドもいわば、その財産です。それを活かすのは、今を生きる私たちの役目であり、

それを、次の世代に受けつないでいくのも私たちの役目であります。
ところで「丹波ブランド」それって何でしょう?
黒豆、松茸、栗、小豆、ぼたん鍋・・・こういったものは、特産品であるのですが、

それらがブランドそのものではないと考えます。
この丹波が都市開発され、山が削られ、ニュータウンになってしまうと、丹波といえるでしょうか?

確かに地名は丹波でありましょうが、今の丹波からくるイメージとは、

かけ離れているといわざるを得ません。丹波が丹波でなくなるのです。

そうなると、松茸、栗をいくら作っても、価値は薄らいでしまいます。

やはり緑の山々、奥深い丹波の森、里山、そこに暮らす人々の営み、自然の営み、

あらゆる要素があいまって、丹波を形作っているといえるでしょう。
丹波ブランドとは、そのような自然景観、人の営み、

そこから作られた文化やふるさとを思う心など、

いろんな要素があいまって、総合的に評価され、形作られているものだといえるでしょう。
それを活かすも殺すも、今を生きる私たちであることを自覚し、

今、丹波人の一人として何ができるか考え、暮らしていきたいものです。

 

秋祭り

御神輿お旅

秋の取り入れも終わり、あちらこちらでお祭りがおこなわれています。
播州や河内など賑やかで激しい祭りと異なり、
ここ丹波では厳かなというべき静かなお祭りが行われています。
そもそもお祭りというのは、農業と密接に結びついています。
農業を考えてみると、やはり天候に左右されることが多く、
安定した天候を願ってのお祭りや虫追いの夏祭り、
そして収穫感謝の秋祭りと、常に人々は神様にその思いをお願いし感謝してきました。
特にこの秋祭りは、お米が無事実ったことを神様に報告し感謝する催しとなります。
婦木農場のある小さな集落も、お祭りの日には各家庭で煮しめを炊いて、
村人たちの手によってお神輿を出します。
私も何回も担ぎましたが、一種すがすがしい気持ちになるものです。
神事が執り行なわれますのでよく聞いておくとたいへんおもしろいです。
神主さんは、お神輿を出すことを神様を渡御にお連れするといわれ、
「お旅」をされると表現されます。
つまり普段、神殿におられる神様に実った田んぼを見てもらい、
海のものや里のものでお祝いをするといったことがお祭りであるということのようです。
そのお旅の先導をするのが、猿田彦であり様々な役付となります。
私の地域ではお旅のさきで、神輿を鎮座するお休みどころがあり、
そこで「もっそう」という栗と小豆が入った赤飯が振舞われます。
帰りの道中は宮入の歌が歌われ、再び神様を社に戻し渡御は終わります。
昔はそれから稲刈りになったようですが、
今ではすでに刈り取った後の田んぼを見てもらうことになります。
つまり、昔は厳しい労働の間のつかの間の休みの時間であったでしょうし、
それこそ豊作を感謝する本来のものであったでしょう。
またそこで、奉納される唄や踊りが伝統文化となり、
後世に引き継がれていることは素晴らしいことですし、
これからも、その背景、意味を含めて伝えていければ更に意義深いと考えます。
丹波では、自然に対する畏敬の念が非常に強く、
祭りが厳かに行われることも納得できるように思います。
今後も是非お年寄りなどから、いろんなことを学び受け継いでいけるといいですね。

婦木農場の前を通るおみこし大王とたんまご王子

黒豆おにぎり

婦木農場のある集落には、様々な昔ながらの行事が残っています。

むらのすぐ上の山に、大きな山桜の古木があります。

そこに「山の神」という石碑があり、年明けの1月15日、毎年山の神さんのお祭りが行われます。

その日は村の人が集まり、皆で山の神さんのところまで登って、

周辺の草刈をしたり、掃除をしたりして、周りをきれいにお清めします。

山の神山仕事の無事を祈る

新しい〆飾りをして、お神酒をお供えし、山仕事の無事を祈ります。

木のまたを横棒に引っ掛けて、お祈りするのです。

お供えならわし

その時のごくうさん(お供え)が、黒豆入りのご飯で、その日は村の子供たちに、

黒豆入りのおにぎりがふるまわれます。
大きいおにぎりの中に、塩ゆでした黒豆が入っていて、

それはもうとてもおいしい子供のごちそうです。
大人たちは、この後新年会を行うのが常であり、丹波の山里の新春の行事となっています。

黒豆おにぎり子供のごちそう